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Stroly代表・高橋真知インタビュー|イラストデジタルマップに込めた「寄り道」の可能性

Stroly CEO 高橋真知


このページでは、Stroly CEO 高橋真知へのインタビューをお届けします。Strolyとはどんなサービスなのか、なぜ生まれたのか、そしてどんな思いでパートナーと向き合っているのか——創業の原点から10年間の歩み、これからの挑戦まで、率直に語ってもらいました。


“Stroly” = “Stroll” + “Story”

「Stroly」という名前は、「Stroll(散歩する)」と「Story(物語)」を掛け合わせた造語だ。サービス名であり、会社名でもある。

Strolyが作るのは、イラストデジタルマップとGPSを組み合わせたプラットフォーム。一般的な地図サービスと大きく異なるのは、マップが「主観」を持つという点だ。目立たせたい場所を大きく描き、必要のない情報は省く。一般的な地図と違い、縮尺すら意図的に選択し、「何を伝えたいか」を凝縮した表現ができる。

「イラストというのは、そのエリアへの思いや世界観そのものなんです。そこにGPSで自分の位置が重なることで、絵の中を自分が実際に探索しているような感覚が生まれる」

Googleマップがあるのに、なぜStrolyなのか

「人間には寄り道が必要だと思うんです」と、高橋は言う。楽しさやワクワクという体験は、場所と深く連動している。最短ルートを案内することに最適化された既存の地図サービスとは、そもそも目指しているものが違う。

この「寄り道」というキーワードは、実は最初から明確だったわけではない。初期のプロトタイプを試していた時、「イラスト上に“もう1本入ったら、農場があってブルーベリー狩りができる”と描かれているのを見て、予定にもないのについつい入ってしまった」という体験が、それを確信に変えた。最短ルートとは程遠い、思いつきで決めたルートを探索しているうちに、思いもせぬ長い時間を過ごしていた。

「Googleマップも便利だけど、そうじゃなくて…という説明しかできなかった時期がありました。でも、『寄り道』や『滞在時間が伸びる』という言葉を使い始めたら、これはクライアントさんが価値を感じてくれるキーワードだなと気づいて」

アートとテクノロジーの間で、Strolyは生まれた

高橋のキャリアは、一見すると異色の組み合わせだ。アメリカの大学で西洋美術史を専攻し、その後インターネット黎明期のベンチャー企業へ。さらに、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)へと転じた。

「美術館に飾られているのは、過去の最先端。じゃあ今の最先端はどこにあるかといえば、インターネットだと思ったんです」

ATRでは、真剣に「発明」に取り組む研究者たちと出会った。ロボット研究が盛んだった時代、ハードウェアの限界を感じながらも、だんだんとクリエイティブな領域へと軸足を移していく。会社名を「ATRクリエイティブ」に変え、共同創業者の徹氏とともにミュージアム向けのガイドシステム開発を始めた。

徹氏はもともとAI研究者だった。ちょうどAmazonのレコメンデーション機能が登場し始めた頃、「自分が欲しいもの以外のものが推薦される世界」に誰もが衝撃を受けた時代だ。その技術をミュージアムに応用し、「この作品を見た人には、こちらもおすすめ」とレコメンドするシステムをAIで作り始めた。

転機は、「屋内だけでなく屋外でもやってみては」という声がきっかけだった。実証実験の場として東映太秦映画村を訪れた時、徹氏が「イラストの上に位置情報を表示する」というアイデアを出し、メンバーがデモとして実装してきた。現場でそれを見た瞬間、「これ、何!?」と驚いた。

まだGoogleマップが出始めたばかりの時代に、イラストの上に現在地が浮かび上がる。美術史を学んできた高橋にとって、それは壁にかかっていた絵が自分の行動と結びつく体験だった。自分が歩くと、絵の中を探索しているような感覚になる。

「面白すぎる!と思ったのが、Strolyの始まりです」

研究機関からスタートアップへ、独立という決断

ATRの社内プロジェクトとして育ってきたStrolyが独立を選んだのは、研究資金という構造的な限界からだった。状況によってはサーバーを止めなければならず、人を自由に雇うことも資金調達もできない。子会社という形では、スケールに限界があった。

「その時は全然決断できていなかったんですが、シリコンバレーでの女性起業家のプログラムに参加してマインドセットが変わりました」

背中を押したのは、実験段階からすでに寄せられていた声でもある。京都市から観光看板との連携を打診され、KADOKAWAからは桜のマップを一緒に作りたいという相談も届いていた。Googleマップがフレッシュな存在だったあの時代に、それでもイラストという表現に可能性を感じてくれた人たちがいた。

その確信を持って、2016年6月にStrolyは独立する。

コロナ禍という、10年で最も苦しいフェーズ

Strolyの10年は、3つのフェーズに分けられると高橋は振り返る。

SXSWのピッチコンテストへの出場など、スタートアップとして注目を集めた第1フェーズ。そしてコロナ禍が直撃した第2フェーズ。

「目の前ですべての仕事がわーっと消えていきました。このまま会社は潰れるのかな、と思いましたね」

位置情報と移動データを扱うサービスなのに、人が動けない。開発基盤がようやく整い、データが取れるようになったそのタイミングでのパンデミックだった。チャット機能を作るなど模索は続けたが、フラストレーションと資金不安の日々が3年間続いた。

「コロナが終わったからといって、すぐ受注が増えるわけじゃないんです。お客さんのお客さん(観光客など)が戻ってこないと、私たちへの発注までいかない」

どん底は、コロナ明けの2023年頃だったかもしれない、と高橋は言う。それでも乗り越えられたのは、「人を動かしたい」という一点にこだわり続けたからだ。コロナが終わり、ヒートマップ上で人々の動きがデータで表れた時の感動は忘れられない。

そして今、Strolyは第3フェーズに入った。コロナ禍で積み上げた開発基盤はそのままに、データ分析と改善のサイクルが本格的に回り始めている。スタンプラリーやイベント情報の掲載、ルート機能など、地図の中で人が動く仕組みも次々に開発されてきた。苦しい3年間があったからこそ、今のStrolyがある。

「地図を作って終わり」じゃない、一緒に走るパートナーシップ

Strolyが提供するのは、地図というプロダクトではなく、地域と一緒に走り続けるプロセスだ。イラストマップを描く段階からロケハンに同行し、「こんなところ何もないですよ」と言う地元の人と一緒に、その場所のまだ見ぬ魅力を見つけていく。マップを公開した後も、データを分析し、人の動きを見ながら改善を重ねる。

「地域のプロデュースをする、という感覚に近いかもしれません。イラストには意図がこもっている。ここに人を運べているかどうかは、私たちも気になるし、お客さんにとっても成果になる」

Strolyが特に力を発揮するのは、パートナーに「本気のコミット」がある時だ。まちづくりや地域活性化、オーバーツーリズムの解決といった、エリアへの責任と課題意識を持って動いている人たちと組む時に、最大のパフォーマンスが生まれる。

「アイデアを持ってきてくれた人に対して、うちはすごく共感が強いんです。『こういうことやりたいんです』と言われると、『いいですね!』って、一旦まるごと受け止めたくなる」

Strolyがある世界で、場所は「発見の場」になる

「Strolyがない世界は、もっと『消費』だと思うんです」

効率だけを求め続けると目的地はただの消費対象になり、場所は点に過ぎなくなる。一方でStrolyがある世界では、場所は「発見の場」に変わる。到着することがすべてではなく、文脈や魅力があって、「こんな場所があったんだ」という出会いが生まれる。見え方が変われば、行動も変わる。

ミッションは「リアルな場所に、未知の発見と出会いをひらく」。ビジョンは「世界中の人に、Stroll with Story を」。

そして創業当初から変わらないコンセプトがある——Share the way we see the world.(世界の見え方を共有しよう)

「画一的な見方じゃなくて、主観的でいいから新しい見え方をどんどん共有していこうというのが原点です。お客さんが『私たちの見方を入れていいんですか?』と目を輝かせてくれる瞬間が、一番嬉しいですね」

次の挑戦——「ストロール」という市場

Strolyは「この面白い種を世の中に広めなければいけない」という使命感が先にある。

「次は、ストロール(散歩・寄り道)の市場そのものを作って、その中心に立つことだと思っています。リアルな空間の中で、体験のデザインを作り、証明できている会社でありたいですね」

そして最後に、協業を検討しているすべての人たちへ向けて、こう語った。

「あなたの大切な場所のために、世界に一つだけの地図を一緒に作りましょう」

OUR MAPS

Strolyは、こんなマップを作っています

観光、お祭り、施設案内——全国各地で、その土地ならではの物語を1枚のイラストマップに描いてきました。「主観を持つ地図」が、実際にどんな形になるのか。事例からご覧ください。

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街の「未来」を
デザインする。

「この街の魅力をもっと伝えたい」。その想いこそが、未来を変える原動力です。Strolyと一緒に、デザインとデータの力で地域社会をより元気に。世界にひとつだけの地図を形にしませんか。

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