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「地域の共通ホームページ」へ―神代植物公園が実践するStroly活用術

A
神代植物公園 広報担当・マップマネージャー
金川美佐さん
マップ導入の立役者として、企画・制作から2〜3日に一度の情報更新、地域連携まで一手に担う。
Mas
Strolyスタッフ
Mas
ライター/エディター。入社半年。フレッシュな視点でStrolyの活用事例を深掘りするべく、今日は全部持ち帰る気で臨む。
Kao
Strolyスタッフ
Kao
ディレクター。神代植物公園&深大寺公式探索マップのロケハンとディレクションを担当した、このマップの生みの親のひとり

東京都調布市にある、豊かな緑に囲まれた「神代植物公園」と古刹「深大寺」。この二つのエリアの周遊を促進するため、「Stroly」が導入されました。 導入後、年間来園者数目標70万人を大きく上回る76万人を達成し、若年層の来園も増加。その成功の裏には、マップマネージャーの金川様による「2〜3日に1回」という驚異的な頻度での情報更新や、地域店舗を巻き込んだ地道な運用がありました。 今回は、金川様にマップ運用のこだわりや情報発信のコツ、そして地域への熱い思いを伺いました。

神代植物公園&深大寺公式探索マップ

都会にとっても近い 豊かな森 広い空 季節ごとに変わる景色 心を穏やかにする 草や花 土の香り 東京都調布市 神代植物公園&深大寺公式デジタルマップです 隣接する古式ゆかしい深大寺やそば店 植物多様性センター 水生植物園 深大寺城をまるっと周遊して観光をお楽しみください

マップを見る →

Kao
神代植物公園&神代公式探索マップは、企業や自治体さんから「こんなマップを作りたい!」とよく例にあげられているんです。そんなマップの立役者である金川さんに、公開後どういう風に使っていただいているか、どういう思いでエリアに取り組まれているかをお伺いできればと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
A
よろしくお願いします。ハウツー本が出せるんじゃないかってくらい、活用している自信はあります(笑)
Mas
本当に出してほしいくらいです(笑)今日は全部聞いて帰れたらと思います。
「ファンが許してくれない(笑)」何度も描き直した、渾身の植物イラスト
取材当時:5月のバラ園。美しい花と香りを楽しむたくさんの人で賑わっていた
Mas
神代植物公園には今日初めてお伺いしたんですけど、マップで見ていた以上にすごく広いですね。平日なのにものすごくお客さんがいらっしゃって。
A
毎年この時期は20万人ぐらい来るんですよ。バラの開花時期には、ふだん神代植物公園をご利用にならない方もたくさん来てくださるんです。
Mas
本当に美しいバラ園なので納得です。
バラ園をはじめ、神代植物公園&深大寺公式探索マップは、美しい植物のイラストの書き込みが圧巻ですよね。制作のプロセスでどんなこだわりがあったかお伺いしたいです。
A

植物のイラストは何度も書き直してもらいました。植物公園好きの人ってこだわりが強いから、私だったら許せるけど、ファンの人は許せないだろうと思って。特に多様性センターのスタッフはマニアの集まりなので(笑)。

例えば深大寺のイベントの絵も、だるま市開催時にはだるまの絵があったり、山門前にほおずきゲートが出てたら、ほおずきのゲートを作ったりとか、季節で色が変わるようにしてもらって。本当に細かい調整を何度もしました。大変でしたけど、完成した時は感動しましたよね。

Kao
イラストレーターさんは2回ほど心が折れかけたとおっしゃっていました(笑)
A

そうだと思います(笑)

Strolyさんがロケハンに来てくださった時、まだ冬だったので花が咲いていない、冬枯れの状態だったんですよね。でもオーダーはすべての植栽の最盛期。なのに実際に見れず、ディレクションが大変だったと思います。

代わりに写真を大量にお送りしました。かわいそうでしたけど、ここまできてまあいいかってなるわけにいかないって、こだわってもらいました。

Kao
ステッカー機能を使うことで季節感の表現も工夫されていますよね。
A
メタセコイアが紅葉・落葉する様子で季節の変化を表現したり、イベントのチラシを直接貼ることも。
度々イラストを書き換えなくてもいいので、便利ですね。
ステッカー機能でメタセコイヤの紅葉や落葉を季節にあわせて表現している
1ヶ月のアクセス目標を10日で達成。深大寺を起点にした動線設計と更新のコツ
Mas
マップの利用状況はどうですか?
A

入園者数の2割がマップを使ってくれることを目標にしていて、それは大体達成しているんです。嬉しいですね。去年の4月は1ヶ月で12,000人ぐらいだったのに、今年はGW期間だけでもう全然超えています。

動きとしては、まず深大寺を入口にして、植物公園に来てくれている方が多いのが特徴的ですね。QRコードにパラメータがついているので、どこで案内を見てマップにアクセスしてくれたのかわかるんです。アクセス元の1位が深大寺のホームページで。

現地でも、みんなが写真を撮る場所・深大寺の山門前や手水舎のところとか、バス停降りてすぐの案内板とか、目立って、必ず立ち寄る場所にQRコードを置いてもらっていることも効いているみたいです。植物公園の正門より、そちらからの利用が多いんですよ。
設置しているQRコードのポスターは、いつも拭いてきれいにしておくようにしています。色も時々変えていて、今はアサギ色という綺麗な緑色に変えていて。

Mas
ポスターの色を新しくするとアクセス数が増えるんですか。
A
そうなんです。使われてるんだなっていうのがわかるので。ポスターは半年に1回くらい替えています。
Kao
継続的なメンテナンスが効いているんですね。マップの情報更新も2〜3日に一度と、すごい頻度でされていると伺いました。
A
例えばバラの咲き具合一つとっても、毎日変わっちゃうので。X(旧Twitter)と連携しているので、忙しい時はXの投稿をマップに反映して、時間があるときは個別でアップするようにしています。
Mas
スポット名に「いい匂いのする」とか一言添えてらっしゃるのも印象的です。
A
Strolyさんの誰かが「そういう方が楽しいですよね、クリックが上がるんじゃないですか」と言ってくれたんです。確かにそうかもと思って。
スタンプラリーのポイントにしても、ただ「紅葉が綺麗です」じゃ当たり前過ぎて人は動かない。「どんな紅葉が見えるか」を書くことで「気になるし行ってみるか」ってなるかなと思って。
Kao
たしかにその一言でぐっと興味がわきますよね。定期的にスタンプラリーを開催されていますが、そういった工夫も参加率をあげるコツなんですね。
A

昨夏は非常に暑い中でも800人以上がスタンプラリーに挑戦してくれました。10代から70代まで参加していて、一番厚い層が30〜50代でしたね。

今まで神代植物公園のファン層は50〜70代だったんですが、最近の深大寺フィーバーで20〜30代、高校生・大学生のデートスポットにもなったんです。

深大寺でマップを知って、近くに植物公園があるのに気づき「ちょっとだけ行ってみる」ってなってくれている。若い人はネットに強いですから、スタンプラリーも自然に参加してくれます。神代植物公園のヘビーユーザーにもスタンプラリーは好評で。スポットをマニアックな場所にしたら、知らない場所がまだありました!みたいな。

今、今年の夏と秋のスタンプラリーの景品を作成中なんですよ。夏は蝶々の形のアクリルキーホルダーで、蝶々の部分だけ透明で、それを透かすと景色と蝶々が重なるというデザインです。

秋はそれのメジロ版を作って、新緑・紅葉・花の修景を透かしてもらい、蝶やメジロの色が変わるのを楽しんでもらいたいなと。

たくさんの人に参加してもらえるように、魅力的なものを作らなきゃ。今年は夏だけで1,000人の参加を目指しています。

あと、スタンプラリーでとったアンケートを、3ヶ月に一度開催している地域の情報連絡会で共有したんですが、それがとても好評でした。夏と秋の結果を比較して、「深大寺と植物公園が隣接していることを知った人の割合が増えた」みたいな変化を見せるとみんな喜んでくれて。

SNSと連携し、スピーディーで負担の少ない更新を実現
スポット名にも細やかな工夫が
「変な人」と思われた1年目から、地域全体を巻き込む3年目へ
Mas
一緒に働く方たちの反応はいかがですか?
A

もともと、門の前に紙で1週間ごとの開花情報を出していたんですよ。それが大変で、デジタルなら全部パソコン上でできちゃうからいいと思って。お年寄りの方が使いにくいっておっしゃっても、門のスタッフが「頑張ってください、絶対できますよ」って励ましながらやってもらいました(笑)。

お客様から場所の問い合わせがあったら、今までは地図に手書きしていたんです。今はマップにスポットピンなどの目印がついているので「この目印のすぐ横ですよ」と案内できて、管理係の人たちがすごい楽になったって言っていました。

門のスタッフにマップのQRコードを名札の後ろに貼って「ここを読むといいよ」って案内してもらったり。従業員にもとにかく「こう使うと便利だよ」「利用率が上がったよ」とかを逐一共有して、モチベーションを高く持ってもらう意識でやっています。

Mas
なるほど。神代植物公園のスタッフだけでなく、深大寺や近くのお蕎麦屋さんなど、地域の方との連携にも力を入れてらっしゃいますよね。
A
実は、赴任1年目は変な人が来たって思われてたと思います(笑)。でも2年目から協力してくれる人が増えて、3年目になってすごい協力体制に。地域のためにやっているって理解してもらえてからはすごく懐に入れてもらえているのを実感しています。
Mas
どうやって信用を勝ち得たんですか?
A

地域のお店や、お寺のイベントにはとにかく顔を出しました。とりあえず会いに行く。そして、「ディズニーランドでも入り口でQRコードを読むんですよ」って説得して(笑)。「全部こちらでやるので、場所だけ貸してください」と。

本当にいい場所を貸してくださっているので、ポスターのデザインにも気を使っています。お寺ファンの人が写真を撮るのに「邪魔だな」と思われちゃいけないじゃないですか。お寺の中にある色、五式の幕の色(赤・白・黄色・緑・紫)でポスターを入れ替えるようにしています。来た人が気持ちよく過ごせる景観を保ちながら目立つように、というのは結構意識しています。

たくさんの方が訪れる、手水舎の側に置かれたポスター
A

マップを導入してから、ご住職が、ネットニュースの記事で「深大寺はデジタルマップを導入している。歴史あるものと新しいものの融合が素晴らしい」と書かれているのを見て喜んでくださって。それから職員さんに「全面的にPRに協力しなさい」と言ってくれて。

新しいポスターにすると職員さんが「今度の色綺麗ですね」って言ってくださったり、台風が来たりすると1回どかしてまた戻してくれたりとかして。地域の方も「お寺さんがいいって言うんだったら、こっちもいいよ」という感じで、どんどん協力してくださるようになりました。

あとは情報連絡会の場で、マップの使用状況を発表していて。「こんなに見てくれています!」と、お蕎麦屋さんのランキングを見せたり。まだQRコードを設置していないお店さんとかが上位にいると「何も置いてないのに、こんなに高いところに」とかってプレッシャーをかけたりして(笑)。そしたら「QRコード持ってきていいよ」って。いまはほとんどのところが置いてくれるようになったんです。

深大寺の紹介で小田急バス・京王バスとの連携も叶いました。今は小田急と京王のバスの色でバス停のアイコンを作って、そこをクリックすると何分後にバスが来るか、どこ行きかもわかるようになっています。お蕎麦を食べながら「このバス停から乗るから、あと何分で出よう」みたいなことができるようになりました。ただ、深大寺周辺が谷で電波環境が悪いのがネックで。通信用のアンテナを立ててもらえないかと模索しています(笑)

バス会社と連携し、接近情報を確認できるようになっている
「ついについに」多摩川を越え、城と城をつなぐ御城印プロジェクト
Kao
地道な関係づくりから始まり、どんどんと波及していく様子に感動しました。まさに「地域全体の情報マップ」になっていますね。今後、他に計画されていることはありますか?
A
御城印というのができたんです!ついについに。うちの深大寺城・川崎市の小沢城・枡形城をつなぐものです。深大寺のご住職と令和の文字を書いた書家による揮毫で、3つの城を巡ると完成する仕組みになっています。3000枚限定で印刷しました。
Mas
どういうきっかけで?
A

着任当初からの課題で、深大寺城(深大寺周辺の水生植物公園)をもっと活用できないかと考えていたんです。1年目は深大寺城から狼煙の代わりに風船を上げて、それを小澤城から見えないか試したり。2年目の冬に調布市の歴史資料館の人から「利用者を増やしたいなら、御城印を作るとそれ目当てで回る人がいるよ」と言われて、じゃあと思って。でも、うちの深大寺城だけでやるのはつまらない。もっと誰かを巻き込まなきゃと。

丁度その頃、調布市観光協会のイベントで川崎市観光協会の人たちと交流する機会があって、「多摩川を挟んで深大寺城と小沢城は、歴史的に睨み合っていた。御城印を深大寺城で作るので、一緒にやりません?」って大きなスクリーンにサンプルを見せて発表しながら誘ったら、川崎市多摩区観光協会の会長さんが気に入ってくださって「もう一つ外せない城があるよ、仲間に入れてください」って。その日のうちに連絡先を交換してグイグイ進めたら(笑)、深大寺城と台紙の表紙は深大寺の御住職が、枡形城は年号「令和」の字を書いた方が御城印を書いてくれることになって。

Mas
すごいですね!このイベントもデジタルマップに入れられますよね。
A
そうなんです。全部繋がっているんですよ。将来的には扇谷上杉氏滅亡の地川越城まで広げられたらと思っています。
深大寺城跡
3つの城を巡る御城印
「マップを地域の共通ホームページに」地域を巻き込む情熱の根源とは
Mas
マップ、ひいてはこの地域への情熱がひしひしと伝わってきます。その根源はどこから来るんですか?
A

仕事が大好きなんですよ。休みの日にリラックスしようと思って温泉に行ったりするんですけど、お湯につかっていると脳がすごく活性化されて、いいこと思いついちゃったりして、お風呂からあがったらすぐメモを取らなきゃってなって(笑)。

元々はデザインや写真を撮ったりっていうのが自分のできることだったんですが、今の出向元の会社に入って最初は経営企画に入れられちゃったんですよ。事業計画を立てて、その説明資料を作るとか、会社全体の取組のまとめ資料を作るとか。「元々やりたかったことと全然違う!」とは思いつつ、3年間我慢して(笑)。でもそこでトップの人たちの考えに触れる機会となって、「会社に足りないこと、求められていること」「成り立ち、歴史、成功するパターン」を学べたんです。

その知識をフルで神代植物公園に活かしているから、時間が濃密に感じます。「これをやるにはあそこに声をかければいい」ということが自然とわかる。あ、あの経験ってこういうことだったんだって思いました。

自分が携わった部署ごとに何らかの改革をしてきたので、神代植物公園に来たら何をやろうかなと思ってて。そしたらちょうどいいタイミングでイラストデジタルマップの話があって導入できたんです。ラッキーでした。

Kao
Strolyにとってもありがたかったです。あの時、携わっている全員の情熱がすごかったですよね。
A

楽しかったですよね。なんでも言いたいことを言わせてもらって、それを受け入れてくださる感じで。異動して1年目だったので他にもやることがいっぱいあって、ギリギリにデータをバーって出したりして申し訳なかったんですけど(笑)。

でもマップを一般公開して、5月のバラの時期に一気に使う人が増えて。それがずっとキープされて、今年はもう去年の1ヶ月分を10日ぐらいで到達するぐらい使ってくださっているので、本当に導入してよかったなと感じています。

Kao
1年間使ってきて、Strolyへの要望はありますか?
A
いい感じに使えているから、本当に困っていないんですよ。最初に思いつく限り、言い過ぎるぐらい言ったので(笑)。
あとはマップがもっと軽くなればいいなということだけですかね。
Kao
バックエンドのインフラ整備を先月大規模にやりましたので、だいぶ軽くなってきているはずです。
A
期待しています!
Mas
最後に、マップを使う利用者さんへのメッセージをいただけますか。
A
このマップを地域の共通ホームページだと思ってもらえたら。便利でなんでもわかる。これだけ見てくれれば地域の魅力がわかりますよ、っていうのを伝えていきたいですね。
Kao
本日は貴重なお話をありがとうございました。
A
ありがとうございました。

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