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イラストデジタルマップによるオーバーツーリズム対策・分散観光の実証(京都市・嵯峨嵐山)

人を「行きたくなる」で動かす、行動変容の定量検証

2025年秋、京都・嵯峨嵐山エリアでStrolyのイラストデジタルマップを活用し、渡月橋や竹林への一極集中という長年の課題に対し、「禁止・規制」ではなく「行きたくなる体験設計」で観光客の行動を変えることに挑戦。その結果、住宅街への侵入率が一般観光客比で約85%減、北部エリアへの誘導率は約1.7倍という成果が出ました。

嵐山が抱えていた問題——混雑と住民との摩擦

京都市の嵯峨嵐山エリアは、国内外から多くの観光客が訪れる人気エリアです。しかしインバウンド需要の高まりとともに、渡月橋周辺や竹林へと観光客が集中し、オーバーツーリズムが深刻な問題となっていました。

歩行困難なほどの混雑、ゴミのポイ捨て、そして観光客が住宅街の細道に迷い込んでしまう——こうした状況が、地域住民と観光客の間に摩擦を生み出していました。

京都市は従来の規制・警備に頼るアプローチとは異なる方法を探り、南側の混雑エリアから北側の嵯峨エリアへと観光客を自然に誘導する施策の検討を始めました。

解決のアイデア——「行きたい」と思わせるマップ設計

今回のアプローチの核心は、「禁止する」のではなく「行きたくなる」体験をつくることです。

Strolyのイラストデジタルマップを活用し、嵯峨嵐山エリア全体を一枚のマップとして再設計しました。ポイントは4つです。

北側に点在する静かな寺院や自然スポットを、イラストで視覚的に魅力的に表現。通常の地図では「遠く感じる」場所も、イラスト地図の自由な縮尺表現とGPS連動によって「行ってみたい」と感じさせます。

ライブ映像を配信し、混雑している場所だけでなく「今、空いているスポット」を可視化。観光客が自然と分散するよう促しました。

観光に適したルートのみを地図上に描き、住宅街の細道はあえて表示しない設計にしました。案内板や規制を設けなくても、地図を見るだけで自然と住民エリアを避けられます。

トイレやゴミ箱の場所をマップ上に明示し、観光客が不安なくエリアを回遊できる環境を整えました。

25,000人以上が利用——海外ユーザーにも届いたイラストマップ

2025年秋の紅葉シーズンに公開した「嵯峨嵐山 周遊ガイド」は、25,000人以上にアクセスされました。

注目すべきは37.4%が海外ユーザーだったことです。言語別の内訳は、

英語21.6%、中国語6.2%、韓国語1.8%、スペイン語1.6%、イタリア語1.1%と続きます。

言葉がわからなくてもイラストで直感的に理解できる「ノンバーバルな情報設計」が、インバウンド観光客にも機能していました。

利用者アンケートでは次のような声が集まりました。

「見る楽しさ」や「回遊のワクワク感」といった体験の質そのものへの評価も高いものでした。

データで証明した「行動変容」の効果

Stroly上に蓄積された約5,000人分の利用ログを、ジオテクノロジーズ社が提供する一般観光客の人流データと比較しました。

◼︎北部エリアへの誘導効果

一般観光客19.3%
Stroly利用者(通常時)32.5%
Stroly利用者(スタンプラリー時)100%

イラストマップだけでも1.7倍

スタンプラリーと組み合わせることで全員が北部エリアへ足を運びました。※Stroly側は「嵯峨嵐山 周遊ガイド」の利用ログを使用しています。

◼︎住宅街への侵入抑制効果

一般観光客15.2%
Stroly利用者(通常時)2.3%
Stroly利用者(スタンプラリー時)3.0%

住宅街を地図に描かないだけで、侵入率は約85%低下しました。警備員を配置することなく、情報設計だけで動線を分離できた形です。

またJR嵯峨嵐山駅を起点とした分析でも、一般観光客は駅南側に滞留しがちなのに対し、Stroly利用者は線路を越えて北・西方向へ積極的に回遊していることが確認されました。

この実証が示したこと

今回の取り組みは、オーバーツーリズム対策に新しい選択肢があることを示しました。

規制や警備コストに依存せず、「行きたくなるデザイン」によって観光客の行動を自然に変える。

その結果、分散観光の推進・住民との共存・観光満足度の向上という、通常はトレードオフになりがちな3つを同時に達成できる可能性が見えてきました。


Strolyが提供する、次世代の観光・エリアマネジメント

Strolyの特許取得済みプラットフォームは、独自のイラストマップと精緻なデータ分析を掛け合わせることで、地域課題に即した最適な観光体験を設計します。

デジタルマップによる戦略的な誘導(デジタル介入)により、特定の場所への集中を避け、エリア全体へ人を促す「分散観光」を推進します。これにより、観光客の満足度向上と、地域住民の生活環境を守る「共存」を同時に実現します。

警備スタッフや物理的な規制看板などのコストに過度に依存せず、マップ上の動線設計によって人流をコントロールすることが可能です。地域の特性やイベントの規模に応じ、デジタルならではの柔軟な設計変更にも対応します。

イラストという「ノンバーバル(非言語)」な直感デザインを活用することで、言語を問わずスムーズな誘導が可能。インバウンド客に対しても、ストレスのない快適な周遊体験を提供します。

施策の実行と同時に、GPSによる精緻な人流データを蓄積します。「どこを歩き、どこに滞在したか」を可視化・分析することで、効果検証に基づいた次なる施策の立案や改善を支援します。

Strolyはこれからも、デザインとデータの力で、地域社会にポジティブな影響を与えるプラットフォームを提供してまいります。

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